症状について

3.双極性障害(躁うつ病)の症状について

◎そう状態

異常なほどの気分の高揚が持続し、「自分はえらい」「自分はすごい」という気持ち(万能感)が強くなります。体中がエネルギーに満ち溢れたように感じて、あまり眠らなくても平気になったり、上機嫌でおしゃべりになったり、さまざまな考えが次々に湧いて、じっとしていられなくなったりします。双極性障害
しかし、単に陽気でエネルギッシュな状態というものではなく、同時にさまざまな問題も引き起こします。例えば、他人に対して高圧的な態度に出たり、到底できそうにない無謀な計画を実行に移そうとしたりして、周囲の人とトラブルを起こすこともしばしばです。後先を考えず快楽的な行動に熱中し、異常な浪費や性的逸脱行為などが見られることも少なくありません。また、アイデアを続々と思いついているようでも、実際には複数の考えが頭の中で競い合っているような状態になり、注意力散漫でものごとに集中できなかったりします。

周囲から見ると「異常である」ことは明らかですが、本人に自覚はなく、自分の思考や行動を正当であると思い込んでいる場合がほとんどです。病気であるという意識がないため、自分から病院へ行こうとすることはまずありません。

 

◎軽そう状態

双極II型障害の軽躁状態は、躁状態のように周囲に迷惑をかけることはありません。いつもとは人が変わったように元気で、短時間の睡眠でも平気で動き回り、明らかに「ハイだな」というふうに見えます。いつもに比べて人間関係に積極的になりますが、少し行き過ぎという感じを受ける場合もあります。

躁状態と軽躁状態に共通していえることは、多くの場合、本人は自分の変化を自覚できないということです。大きなトラブルを起こしていながら、患者さん自身はほとんど困っておらず、気分爽快でいつもより調子がよいと感じており、周囲の困惑に気づくことができません。

◎うつ状態

双極性障害の人が具合が悪いと感じるのは、うつ状態の時です。

筆舌に尽くしがたい、何とも形容しがたいうっとうしい気分が一日中、何日も続くという「抑うつ気分」と、すべてのことにまったく興味をもてなくなり、何をしても楽しいとかうれしいという気分がもてなくなる「興味・喜びの喪失」の二つが、うつ状態の中核症状です。うつ状態

これら二つのうち少なくともひとつ症状があり、これらを含めて、早朝覚醒、食欲の減退または亢進、体重の増減、疲れやすい、やる気が出ない、自責感、自殺念慮といった様々なうつ状態の症状のうち、5つ以上が2週間以上毎日出ている状態が、うつ状態です。

双極性障害では、最初の病相(うつ状態あるいは躁状態)から、次の病相まで、5年くらいの間隔があります。躁やうつが治まっている期間は何の症状もなく、まったく健常な状態になります。しかし、この期間に薬を飲まないでいると、ほとんどの場合、繰り返し躁状態やうつ状態が起こります。治療がきちんとなされていないと、躁状態やうつ状態という病相の間隔はだんだん短くなっていき、しまいには急速交代型(年間に4回以上の病相があること)へと移行していきます。薬も効きにくくなっていきます。

双極性障害で繰り返される躁状態の期間とうつ状態の期間を比較すると、うつ状態の期間のほうが長いことが多く、また先述の通り、本人は躁状態や軽躁状態の自覚がない場合が多いので、多くの患者さんはうつ状態になった時に、うつ病だと思って受診します。そして病院にかかった時に、以前の躁状態や軽躁状態のことがうまく医師に伝わらない場合、治療がうまく進まないことがあります。 このように、双極性障害が見逃されている場合も少なくないと思われます。

 

 

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