適応障害の症状と診断

適応障害の症状はいろいろで、不安、抑うつ、焦燥、過敏、混乱などの情緒的な症状、不眠、食欲不振、全身倦怠感、易疲労感、頭痛、肩こり、腹痛などの身体症状、遅刻、欠勤、早退、過剰飲酒、ギャンブル中毒などの問題行動があります。そして、次第に対人関係や社会的機能が不良となり、仕事にも支障をきたし、会社を休みがちになります。

診断で重要なことは、うつ病を発症していないかどうかの鑑別です。適応障害を含めた慢性ストレスが、うつ病発症理由の筆頭に挙げられています。うつ病発症の鑑別には、ストレッサーから離れられている、休日などの行動パターンやその変化が重要になります。典型的な例では、金曜の夜のなると調子が良くなり、休日はストレッサーのことを考えないと楽しく過ごせ、日曜の夜から緊張感が出てきて月曜の朝不安感が強く出てしまうような例です。ただ、重症になるとその変化が目立たなくなり、常に不安を感じているような状態になることがありますので、鑑別は簡単にできるものではありません。

 

適応障害の診断には、次のような基準があります。

1 はっきりとした心理社会的ストレスに対する反応で、3ヶ月以内に発症する。

2 ストレスに対する正常で予測されるものよりも過剰な症状。

3 社会的または職業(学業)上の機能の障害。

4 不適応反応はストレスが解消されれば6ヶ月以上は持続しない。

5 他の原因となる精神障害がないことが前提条件です。

 

 適応障害のタイプとしては、その主な症状によって以下のように分類されます。

 

1 不安気分を伴う適応障害

 不安、神経過敏、心配、いらいらなどの症状が優勢。

2 抑うつ気分を伴う適応障害

 抑うつ気分、涙もろさ、希望のなさなどの症状が優勢。

3 行為の障害を伴う適応障害

 問題行動、人の権利の障害、社会規範や規則に対する違反行為などが優勢。

4 情動と行潟の混合した障害を伴う適応障害

 情動面の症状(不安、抑うつ)と行為の障害の両方がみられるもの。

5 身体的愁訴を伴う適応障害

 疲労感、頭痛、腰痛、不眠などの身体症状が優勢。

6 引きこもりを伴う適応障害

 社会的ひきこもりが優勢。

 

適応障害の治療について