強迫性障害 強迫症状(強迫観念や強迫行為)の具体例

汚染に対する恐怖 他人や動物など周囲のものから汚染されるという強迫観念から、汚染を避けようとしたり、洗浄行為をくり返す強迫行為を認めます。

baikin例えば、 ドアの取っ手や電気のスイッチ、道路上の汚れ、床に落ちたものなどに触ることができません。ほこりや細菌、他人の血液や尿などの体液、犬猫鳥の糞便などが目に見えなくても少量ついているかもしれない、などと考えてしまうのです。意識して触らないようにしていても、「もしかしたら無意識に触ったかもしれない」などと想像してしまうだけでも強い不安に駆られて、不安手洗いが消えるまで洗浄や消毒行為をくり返してしまいます。外出して帰宅したら玄関から風呂場に直行して入浴しなければならないとか、外出着は玄関で脱いでビニール袋を二重にした中に入れて他の洗濯物とは区別して洗うとか、自分なりの「汚染防止対策」を決めて実行せずにはいられないこともあります。

一度思いついた対策法は、その必要性を完全に否定できる根拠がなければ採用しなければならないため、次第にエスカレートしていきます。
なお、不安を強める要因として細菌やウイルスなどに汚染されたかもしれないという疑いから死への恐怖感が呼び起こされるケースと、「汚い感じ」に対する極度の不快感から、思考の混乱がもたらされるケースがあるようです。
また、前者では自分の身を案じるよりも、汚染を伝播して家族や周囲に迷惑をかけてしまうことを恐れている場合も少なくありません。


●自分や他人を誤って傷つけてしまうことへの不安 

自分が望んでもいないのに、誤って、または無意識に、他人を傷つけてしまうのではないかという強い心配です。
例えば、
車を運転しているときに、ちょっとした振動があると「今、誰かをひいてしまったのではないか」と不安に思い、一回確認しただけでは誰もひいてないという自信が持てず、何度も確認したり、それでも確信が持てないと警察に出頭しようと思いつめたりします。
また、道を歩いているときに、お年よりや子供にぶつかって怪我をさせたりはしないかと不安に思い、通行人と必要以上に距離をとって歩くこともあります。強迫性障害
●物の存在、規則性、正しさへのこだわり 

文具や本などが無造作に置いてあるという状況において、物が「ここにある」という確かな実感が得られず、何度も何度も物を置きなおさずにはいられないという症状を訴える患者さんがいます。また、「左右対称」や「正しい順序」など、一定のルールを守って物が存在することを追及せずにはいられないという症状もあります。もしも物の存在や配置が「不確かだ」「ちゃんとしていない」などと感じると、なんとも居心地が悪く不安でそわそわして落ち着きません。このため整理整頓に非常に多くの時間や労力を費やしてしまいます。家族でも自分の部屋には入れたがらないことも少なくありません。なにか物の配置に変化がおきてしまったのではないか、など考えると混乱するためです。
●保存へのこだわり 

本当はもう不要だと分かっているごみでも捨てることができない状態です。ごみと一緒に大切なものまで捨ててしまうことを恐れたり、ごみという判断に自信がない、などの不安を伴っていることもあります。このような強迫症状が強い場合は、部屋がごみだらけになってしまうこともあります。強迫性障害

 

 


●不謹慎な考えに対する罪と罰への不安 

自分の本心とは全く逆のことが浮かんできて、自分はなぜそんなことを思ってしまうのか分からずに苦しむ状態です。

 


例えば、
交通事故の現場を見て、本当は心から同情しているのに全く逆の雑念(「ざまぁみろ」など)が浮かんできて、罪の意識にかられて自分を責めたり、罰が当たることを恐れたり、自分の行為を何度も心の中で謝り続けたりします。また、不吉な空想をしてしまうと、「空想は願望のひとつなのではないか」「強く願うことが実現しやすいというのなら、不吉な空想だって実現しやすいのではないか」などと恐れることもあります。この不安を帳消しにするために、逆の内容の空想を思い浮かべて帳消しにしようとします。

「不吉な空想をしているときに行っていた行動は、よい空想をしながらもう一度やり直さないと本当に不吉なことが起きるかもしれない」という発想から、同じ行動をひたすら繰り返す場合などです。周囲から見ていると同じ行動を無目的に繰り返しているように見えるのですが、本人は必死なわけです。同じ動作を繰り返している患者さんが、家族に声をかけられて怒り出した、という話はよくききます。

本人は動作を反復しつつ頭のなかをよい空想だけで一杯にしておくことに専念しているわけですが、そこで家族から声をかけられると「いまの瞬間に何か悪い空想が混じってしまったかもしれない」とか「努力が台無しになった」と感じたりするのです。

強迫症状の内容は患者さんによってさまざまに異なります。将来は、強迫性障害がいくつかのタイプに分類されるかもしれません。そして、原因や治療に関して全てのタイプに共通する点と、各タイプによって異なる点が明らかにされていくかもしれません。




 

OCDの治療方法について