適応障害とは

適応障害

 

適応障害とは、社会生活において現れる様々なストレッサーに、うまく適応することができず、さまざまな心身の症状が現れて社会生活に支障をきたすものを言います。

人はだれでも、社会生活をする上において多くのストレッサー囲まれています。入学や就職・転職など、新しい環境に慣れて社会適応するためには、適応するための工夫が必要で、苦労をしたり我慢しなければならないことも少なくありません。そのような苦労をして、社会に適応してゆくのですが、それがうまくいかなくなった場合には、会社では職場不適応となり、学校では不登校などといった形で現れてきます。

 

  ストレス学説によれば、心理社会的ストレス(環境要因)と個人的素質(個人要因)とのバランスの中で、いろいろなストレス反応(心理反応、行動反応、身体反応)が生じますが、これらは外界からの刺激に適応するための必要な反応です。ところが、ストレスが過剰で長く続く時、個人がストレスに対して過敏である時に、このバランスがくずれてさまざまな障害をきたすようになります。適応障害の出現に関しては個人要因が大きな役割りを果たしていますが、もし心理社会的ストレスがなければこの状態はおこらなかったと考えられることがこの障害の基本的な概念です。

ストレッサーに対し、本人が適応力を持っていれば、ストレス反応は起きません。また、本人が、ストレッサーを認識しないか深刻にはとらえない場合も、ストレス反応は起きません。

 

では、脳の中ではどのような反応が起こっているのでしょうか。まだ完全に解明されたわけではありませんが、下記のようなことが考えられています。

この障害の中心は偏桃体と呼ばれる、不安信号を出す部位と考えられています。偏桃体は、感覚情報を統合した上で過去の記憶を参照して、今の状況が自分の生存確率を上げるか下げるかを判断します。そして、下げると判断した場合不安信号を発するのです。その信号の程度は、ストレッサーの強さだけでなく、生来持っている偏桃体の感受性に左右されます。過去の体験記憶も重要です。偏桃体は、体験記憶をつかさどる海馬と言われる脳の部位の先端に位置しています。死を感じるような車の交通事故を起こした人は、車に乗るだけで緊張してしまい乗れなくなってしまう人もいます。過去の不安記憶に影響され、偏桃体から不安信号が強く出されるようになったのです。これは、空間恐怖と言われる状態です。

適応障害では、多くはこのような一度の体験だけで症状が完成されるものではありません。例えば職場での人間関係に悩んでいた人は、職場に行くたびに嫌な思いを繰り返してしまいます。この体験は、数回の体験だけならストレス反応は起こしませんが、何度も繰り返されることで徐々に不安記憶が強まり、就業空間もしくは特定の人物への恐怖が募り、ついには出社の度にストレス反応が出るようになってしまうこともあります。

不安信号は、大脳中枢に直接伝えられ、不安として認識され行動に影響を与えます。またストレスホルモンや交感神経を通じ身体的な反応を起こします。動機や息苦しさが見られ、血圧上がり、発汗も見られます。所謂ストレス反応と言われる状態です。

この為、個人のストレスへの対応力には、ストレスホルモンへの受容力や交感神経の反応レベルも大きく関係していると言われています。

 

  

適応障害の症状と診断について