治療法について

4.薬物療法について

気分の変動を安定させ、「躁」にも「うつ」にも効果を発揮します。

双極性障害の治療の基本になるのが薬物療法です。中心となるのが、気分安定薬という薬です。
気分安定薬にはいくつか種類がありますが、リチウムやバルプロ酸がよく使われます。気分が大きく上下に乱れた状態を安定させる働きがあり、そのため「躁」状態にも「うつ」状態にも効果があります。服薬している量が適切かを確認するためや副作用をチェックするため、血液中の濃度を計測しながら治療を進めていく必要があります。なお最近、ラモトリギンが双極性障害の予防薬として使用可能となりました。

「うつ病」の治療に用いられる抗うつ薬は、原則的には使いません。抗うつ薬により、かえって急速な「躁」状態を引き起こすこと(躁転/そうてん)があるためです。ただし、症状によっては、抗うつ薬や抗精神病薬を慎重に併用したり、抗不安薬や睡眠薬をあわせて処方したりする場合もあります。

症状が安定しても、再発予防のために薬は長期に渡って服用し続けます。調子がよくなったからといって、自己判断で勝手に服薬を止めたりせず、必ず主治医と相談しましょう。
 

5.精神療法

ものごとの捉え方を変え、思考や感情をコントロールできるようにしていきます。

薬物療法と並んで治療の柱となるのが精神療法です。治療者と患者とのやりとりの中で症状を改善していく方法の総称で、さまざまなものがあります。

代表的なのが「認知行動療法」です。ものごとの捉え方(認知)や問題となっている行動を見つめなおし、自分の陥りやすい思考や感情のパターン=「心のクセ」に気づいて、コントロールできるようにしていこうというものです。

その他、患者の重要な他者との関係に注目し、その人間関係で直面している問題に焦点をあてて問題解決をはかる「対人関係療法」や、起床や就寝・食事・仕事・他者との接触などの生活リズムに着目し、リズムの乱れを整えることによって再発を予防する「社会リズム療法」などがあります。

いずれも治療者から一方的に答えを提示されるものではなく、患者自身が自分の問題に気づき、主体的に取り組んでいくことが不可欠です。 


 

患者さまへのアドバイス