ストレッサーとは

ストレッサーとは(文部省サイトより)

 「ストレッサー」には、日常生活で遭遇する様々な出来事や刺激が該当する。これらの「ストレッサー」には強さがあり、強いストレッサーは大きなストレス反応を引き起こす。

  ストレッサーを、暑さ、寒さ、騒音、不快な刺激臭など物理的なものと対人関係のトラブルや別離などの心理社会的なものに区別するなどいろいろな分類が可能であるが、本編では「ストレッサー」の種類を大きく次の3つに大別する。

 

 生活環境ストレッサー

 外傷性ストレッサー

 心理的ストレッサー

 

<生活環境ストレッサー>

   私達が、人生の中で生活環境から受ける刺激すなわち出来事のほとんどがこの生活環境ストレッサーである。

  図2は、日常生活で生じる生活環境ストレッサーとその強さを調べたものである。大切な人や物の離別、喪失は特に強いストレッサーであり、また、家族、職場、友人との人間関係や、環境の変化も大きなストレッサーになる。海外に赴任し異文化で生活することは、日本国内とは異なるいろいろな生活環境ストレッサーを体験することになる。

 

 <外傷性ストレッサー>

   地震、災害、事故、戦争被害や性的被害など、その人の生命や存在に影響をおよぼす強い衝撃をもたらす出来事を外傷性ストレッサーと呼ぶ。外傷性ストレッサーには、次のような出来事が該当する。

 

1 自然災害:地震・火災・火山の噴火・台風・洪水

2 社会的不安:戦争・紛争・テロ事件・暴動

3 生命などの危機に関わる体験:暴力・事故・犯罪・性的被害など

4 喪失体験:家族・友人の死、大切な物の喪失

 

  外傷性ストレッサーによる体験を外傷(トラウマ)体験と呼ぶ。この外傷体験による精神的な変調を(トラウマ)反応と呼び、ストレス反応とは異なる反応が現れる。トラウマ反応の多くは一過性に経過し、症状も軽いものが多いが、一部にはPTSDと呼ばれる精神的後遺症が発症する。

 

 <心理的ストレッサー>

   人間は動物と異なり、現実に遭遇していない出来事であっても、「なになにするかもしれない」「なになにしたらどうしよう」と様々に考えるが、この考えたことがストレッサーとして作用する。

  「地震が来るかも知れない」「失敗したり取り返しがつかないことが起きてしまう」などの否定的な予期や評価が、不安や恐怖、緊張といったストレス反応をひき起こす。

  困難な状況下では、その状況から抜け出すために、誰しもがあれこれと考え続ける。しかし、この様な思考自体が持続的な心理ストレッサーとして作用し、ストレス反応が継続することになる。

  また、PTSDの症状であるフラッシュバック、悪夢などは、その外傷体験に遭遇したときの記憶がよみがえる症状であるが、現実ではない意識に再び現れたイメージが心理的ストレッサーとして作用し、そのときの恐怖や緊張が生じることになる。

 

  これらの生活環境ストレッサー、外傷性ストレッサー、心理的ストレッサーは全て加算され、複合的に作用し、ストレス反応を引き起こす。

  一つのストレッサーによるストレス反応だと思えても、実はいろいろなストレッサーの複合的な結果によるストレス反応であることがある。従って、心のケアを行う際には、どのようなストレッサーが関与しているのかを調べ、対処可能なストレッサー全てに対して軽減を図る必要がある。

 

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